2024年11月4日月曜日

Garmin Messenger Plus

アップルはグローバル・スター衛星網と直接接続して、メッセージの送受信が可能になった。auもスマホをスターリンクに直接つなぐ実験に成功した。ガーミンという巨大企業が何もせずにいるはずがないと筆者は考えていた。遅ればせながらやっと気づいた。

[革新的部分]

 ガーミンは、新しいデータ圧縮のアルゴリズム Iridium Messaging Transport(IMT)と専用チップを開発していた。これは従来の300倍のデータ量を送受信でき、英文で1600文字(日本語だと533文字)になる。音声なら30秒間、画像なら一つ送れる。送受信のデータ量が増えて性能も著しく向上した。どんな悪条件でも通信に成功するだろう。単に人目をひくために画像と音声の送受信をサポートしたのではない。アップルなどの追い落とし戦略だろう。Messenger PlusにはIMT専用のチップが実装されているはずである。それで、旧Messengerとは器が同じだげで、中身はまったくの別物である。現在のガーミンのinReachモデルは、チップを入れ替えた新しいモデルに移行する。そして旧Messengerは姿を消す。

[送受信能力]

 アンテナ出力は旧Messengerで3.6 watts、Messenger Plusで9.3 watts。送受信能力は、従来製品の2~3倍と推定される。筆者はGPSMAP 66iを長年使ってきたので、送受信能力は4~5倍に感じる。66iは自宅内ではGPSが受信できないが、このMessenger Plusは屋内でもGPSの電波を拾うので、WiFi利用で発信可能である。GPS受信能力も数倍に上がっている印象である。

[基本アプリ] 

スマホのGarmin Messengerアプリを使えば、位置情報付き(GPS受信が条件)で、文字、画像、音声ファイルのやり取りが可能である。Messenger Plusは携帯圏内やWiFiがあれば、それを使い、無ければイリジウム衛星網を使う。Messenger Plusを使う場合、Garmin Exploreは不要だが、インストールしておくと、地図に軌跡や現在位置が表示されるので、ナビゲーションに便利である。地図も年々改良され、国土地理院の地図なみになってきた。


世界中の地図が無料で入手できる。



富士山火口の地形図。GPSアプリとして十分に使用できる。



[プリセット・メッセージ]


 プリセット・メッセージの例を示しておく。筆者は2012年からのユーザーなので、プリセット・メッセージは三種類送れる。新しい契約者はチェックイン・メッセージが一つだけである。この送り先は、e-mailやGarmin MessengerのSMS付き電話番号にもセットできるし、同時に複数の相手に送れる。Garmin Messengerのアドレスにしておくと、500文字以上で返信が可能になる。



[操作法]


 Garmin Messengerで、メッセージ、画像、音声ファイルを作成し、送受信することが基本だが、本体でも、クイックメッセージ、トラッキング、チェックイン、天気、トラックバックなどの操作ができる。Messenger Plusの本体でinReach リモートをOnにしておくと、ガーミンの腕時計(Fenix 7など)と接続して、メッセージの送受信ができる。チェックイン・メッセージを発信する時は便利である。Messenger Plusには小さな表示窓しかないので、地図はスマホのGarmin Explorewで見るが、ガーミンの腕時計の地形図を見た方が簡単で、トラックパックもしやすいし、バッテリー消費もわずかである。



Nothing 2aで写真を送信、Phenix 7ではプリセット・メッセージを発信。



受信者のスマホ。送信者とまったく同じ内容になる。


[送受信]


 ベランダで送受信を行った。空が半分隠れるので、GPSMAP 66iでは送信が難しい場所だが、Messenger Plusはらくらくと送信する。テキストは数秒、画像は少し時間がかかり、5~10秒で行われる。晴天であったが、雨天でも少し時間がかかる程度であろう。GPSMAP 66iでは森の中で雨が降っていると送信不能になることがあったが、Messenger Plus なら、何の問題もないだろう。なお、天気予報の取得は簡単で、一週間の天気予報が数秒でダウンロードされる。初日のみは一時間おきの天気予報となっている。以前は三日分の予報しか無かったが、内容は改善された。




自宅での送信実験、空は半分ほどしか見えない。



天気予報は一週間分で、初日は一時間間隔。



ロードレーサーの場合は、フロント・バッグの上部に収納。発信には何の問題もなかった。

[バッテリー]



 公式には低電力モードで10分ごとにテキストメッセージまたは位置情報の更新を送信した場合、最大600時間。低電力モードで液晶のバックライトをゼロにして、実際にロード・ツーリングで行ってみた。位置情報は数十発信した。二日、行動中、電源オンのまま、二日間で20%くらいの減少した。使い方によるが、単純計算では10日程度は問題ない。つまり、予備バッテリーは必要だが、電源ONのまま持ち歩いて使えるだろう。

[料金]


 エッセンシャル・プランでは$17.99/月とやや高額になった。SOSメッセージ、チェックインメッセージは無限回可能。トラックポイントは$0.15/回。テキスト・メッセージと天気予報は50回/月まで無料で、超過すると$0.60/回となる。料金は上がったが、メッセージと天気予報が込みで50回まで無料だと便利である。しかも、いくら使ったか、圏内なら毎回確認できる。





[SOS] 緊急時には、インタラクティブなSOSメッセージが発信できる。SOS信号は国際救助対応センターInternational Emergency Response Coordination Center (IERCC)が24時間モニターしていて、救助信号の国籍を判断し、対応コーディネータが母国語で対応する。従来はテキストのみでのやり取りであったが、Messenger Plusでは、テキスト、写真、音声メッセージで状況が説明できる。タイピング、あるいは、説明困難な状況では、写真や音声ファイルが大きな助けになる。この利点は非常に大きい。






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