書き忘れていたので。アマゾンより自主出版
はじめに
ここ10年は毎夏一ヵ月ほどアメリカに行ってハイキング(いわゆるトレッキング)をしていた。アメリカのハイカーと議論を戦わせることも多かった。その関係で、ハイキングに関するさまざまなトピックに関して、必要とあれば学術論文を検索し、読んで考えるようになった。その成果をまとめたのが、「ハイキング・ハンドブック」(新曜社、2013/2014年)である。残念ながら、この5~6年に明確になったことを書く機会がない。
日本の山関係の雑誌やウェブ記事を見る機会が増えた。きれいな画像で飾られていて、ファッション雑誌のようである。内容は変化するが、進歩から取り残されているようだ。数十年前の内容が焼き直されている。
アメリカのアウトドア雑誌でも似たようなものだが、若干、進歩はしている。それで、日本の遅れが目立つようになった。単なる流行の遅れはよいのだが、命に関わる知識も遅れている。
例えば、SOS発信装置の販売は、アメリカに遅れること8年である。遭難時にSOS発信ができればピン・ポイントで救助できる。捜索活動は、本人か、その関係者が救助依頼しない限り、開始できない。どうして持とうとしないのか、筆者には理解できない。年契約で月12ドルである。どこでもメールの送受信ができるし、山岳保険としては格安ではないか。
高山病への対処法も知らない人が多すぎる。対処を間違うと命に関わる。2019年に高山病予防のガイドラインが改訂された。適切な知識があれば、高山病で命を失うことはない。
日本では、毒蛇に咬まれた時にポイズン・リムーバーを使うという人が多い。残念ながら、効力がないと科学的に否定されている。これをエマージェンシー・キットに含めている人がいたら、信用してはいけない。さすがに、アメリカ人ハイカーでもこの話題を出すと笑われてしまう。
「ハイキング・ハンドブック」と記述に若干の重複はあるが、歩き方、テント泊、衣服、食事などでも、安全性に関係する事柄は、圧縮して取り出し、最新の内容を補足した。また、可能な限りコンパクトにまとめた。なるべく新しい知識を吸収し、安全なハイキングをしてほしい。
目次
第1章 プランニング
いつ、どこへ、だれと/準備/山の攻略法
第2章 靴の選び方
ブーツとシューズはどう違うか/マメを防ぐには/靴の調整/
インソールは/ソックス/ミニマム・シューズは危険
第3章 効率的な歩き方
歩行の原理/トレッキング・ポールを使う/適度なふらつき/
重い靴は疲れるか/疲れない歩き方
第4章 荷物を背負う
バックパックの種類/バックパックの選び方/バックパックの重心は/
パックパックのどこが壊れるか/筆者のバックパック/パッキング
第5章 衣服の選び方
基本原則/コンプレッション・タイツは/レイン・スーツ/
紫外線よけ/寒さに強くなるには/筆者の場合
第6章 夜を過ごす
テントの種類/強風下で立てるには/状況に応じてペグを使い分ける/
筆者のテント/トラブル発生/スリーピング・バッグ/マットレスは不可欠/
野外トイレの作法
第7章 食事
ストーブ/事故防止には水/浄水器があれば/なにをどれだけ/
エネルギー消費の計算/自家製ヒートパック/サプリは効果があるか/
食事例
第8章 危機に対処する
実証的研究では/道迷い、転落、気象遭難/日本では捜索はどう行われるか/
SOS発信装置を持とう/捻挫・打撲・肉離れ・筋肉痛/
低体温症/高山病/毒蛇に咬まれたら/渡渉/エマージェンシー・キット
第1章 プランニング
いつ、どこへ、だれと/準備/山の攻略法
第2章 靴の選び方
ブーツとシューズはどう違うか/マメを防ぐには/靴の調整/
インソールは/ソックス/ミニマム・シューズは危険
第3章 効率的な歩き方
歩行の原理/トレッキング・ポールを使う/適度なふらつき/
重い靴は疲れるか/疲れない歩き方
第4章 荷物を背負う
バックパックの種類/バックパックの選び方/バックパックの重心は/
パックパックのどこが壊れるか/筆者のバックパック/パッキング
第5章 衣服の選び方
基本原則/コンプレッション・タイツは/レイン・スーツ/
紫外線よけ/寒さに強くなるには/筆者の場合
第6章 夜を過ごす
テントの種類/強風下で立てるには/状況に応じてペグを使い分ける/
筆者のテント/トラブル発生/スリーピング・バッグ/マットレスは不可欠/
野外トイレの作法
第7章 食事
ストーブ/事故防止には水/浄水器があれば/なにをどれだけ/
エネルギー消費の計算/自家製ヒートパック/サプリは効果があるか/
食事例
第8章 危機に対処する
実証的研究では/道迷い、転落、気象遭難/日本では捜索はどう行われるか/
SOS発信装置を持とう/捻挫・打撲・肉離れ・筋肉痛/
低体温症/高山病/毒蛇に咬まれたら/渡渉/エマージェンシー・キット