清水尾根と栂海新道は長くて道が険しいので、お勧めしませんよ。
清水(しょうず)尾根
- 下り三回、登り二回体験した。登りはきついので、避難小屋で一泊すべき。天候が悪いのに頑張って白馬岳頂上を目指し、集団遭難した事例がある。
- 登り口から不帰岳避難小屋まで、昭文社の地図にはコースタイムは登り5時間、下り4時間とあるが、2時間か3時間加えておく。
- 道は登り口から避難小屋までガレて、ひどく悪い。アップダウンも多い。避難小屋から上は良くなる。
- 水は百貫山近くにあるが、登山道が狭くてテントは張れない。テントが張れる場所は、祖母谷温泉、登山道入り口、避難小屋付近、清水岳頂上近くか頂上に限られる。頂上近くには池があり、植生のない場所がある。頂上には植生がなく、池塘の水がある。
栂海(とがみ)新道
- 下り二回体験した。長くて厳しい。痩せ尾根、ロープ、階段が多く、低くなると灼熱地獄となる。
- サワガ二山から犬ケ岳までは痩せ尾根。随所にロープが続く。注意しないと滑落する。犬ケ岳から白鳥山までは歩きやすい。坂田峠手前数キロは急こう配の下りで、ロープと梯子の連続。坂田峠から親不知までは登ったり、下りたりと最後の体力を奪われる。また、灼熱地獄となり、熱中症になる人もいる。
- きれいな水のでる水場は限られる。北保ノ水場は近いが、ここで一日分の水は汲まない方がよい。犬ケ岳とサワガ二山の間は痩せ尾根で多くの水を担ぐのは危険。栂海山荘に泊まる場合は、雨水の利用システムがあるので、それを利用すること。そのほかに雨水をためたものもあり、浄水器で濾せば利用可能。白鳥山以降はシキ割の水場や水たまりの水を使うこと。
- テント泊可能な場所は黒岩山山頂近くの登山道、文子の池近く、栂海山荘、白鳥小屋程度。
- 親不知に向かうとして、水の必要量は黒岩山から犬ケ岳まで1L。不足の場合は北保ノ水場で補う。栂海山荘から白鳥山までは1L程度、ただし、白鳥山から下りていくと灼熱地獄が始まるので、親不知まで2-3L必要。水はシキ割あたりで補うこと。
- 白鳥山以降は夏ならばショートパンツとTシャツが望ましい。長袖、長パンという模範的な山用の服装は、熱中症を引き超すだけである。私はショーツに綿のTシャツの組み合わせだったが、それでも汗でびしょ濡れになった。
記録
3年前、半月板損傷の後、欅平から白馬に行き、膝が痛くて歩けなくなった。天気は安定しているし、時差ぼけも治ったので、なんとなく歩いてみようと思った。白馬大雪渓は雪解けのため通行止め、朝日小屋はなぜか営業終了。人が少なくて良いと思った。
最近でも栂海新道から親不知にいくコースは人気があるようだ。筆者は2006年に白馬大雪渓から歩いている。コースは脚の調子しだいで変更することにした。すでに蓮華温泉のバスは土日程度しか走らない。降りる場所は栂池高原から白馬大池駅か、黒岩山から下りて小滝駅か(路線バスはなく、鉄道しかない)、栂海新道から親不知へ降りてタクシーで親不知駅か、この3つしかない。初日から清水尾根には取り付けないので、登り口でキャンプとして、5泊6日分の食料(6.3kg)を持つことにした。total packweightは24kg (水を除く)となった。
9/10 (日)
昼頃に欅平に着けばよいので、ゆっくりと出発、宇奈月でトロッコ電車に乗り継ぐ。電車は観光案内のアナウンスがうるさくて耳が悪くなる。boseの消音イヤホンを使う。耳栓必須だろう。
欅平11:00過ぎ、大勢の観光客が下りた。食堂はあったが、うどんが1100円。宇奈月駅で美味しそうな弁当をたくさん売っていた。買わなかったのは失敗。バナナブレッドを日陰で食べてから出発した。
祖母谷(ばばたに)温泉(キャンプ場あり)近くで水を6Lもって歩いた。30kgなので、ちょっとつらいが、一時間ほどで登山口に着いた。すると工事関係者の宣伝を兼ねた休憩所ができていた。登山者は自由に使ってよいとあったので、テントを張った。どうせ他に登山者はいない。
夕食は凍らせて持ってきたステーキ(タオルで包んだ)、家のお惣菜、納豆ご飯とした。のんびりしていると変な声が聞こえる。サルの警戒音だったらしい。こちらがなにもしないと、どんどんと姿を現してきた。4~5匹ずつ、葉を食べながら下山していく。子ザルもいた。どうも寝場所は低い所にあるようだ。こちらが何もしない人間なので、サルも警戒心を解いて、のんびりと食べながら帰っていった。みんなマルマルと太っていた。一匹だけポートレートを写させていただいた。
食事の後、道の先のゲートを見ると鍵がかかっていない。奥に行くと川に降りられた。水を担ぎ上げる必要はなかったようだ。顔を洗っただけだった。
9/11(月)
4時過ぎに起きて、いつもの朝食。6時出発。ガレから右手に急こう配で登る。勾配自体はたいしたことないが、登りが長い。道も悪い。
11時過ぎ、百貫山の近くの登り。水はあるけど、平な場所がなく、テントが張れない。最低限、避難小屋まで行く必要がある。
避難小屋手前2kmほどに4m程度の垂直に近い崖がある。バックパックが重くて、登りきる自信がなかった。そこで右に回り込んで木の枝を掴みながら這い上がった。
2:50不帰岳避難小屋。この時点でふらふら。先に進むのは止めた。水を汲みに行き、その場で1Lほど飲んだ。夕方、雨の予報。夕食は、お惣菜とソーセージ、納豆ご飯。夜は少し雨が降っただけ。他のメニューの写真は省略。清水岳まで行けなかったので、困った。明日は白馬岳頂上小屋でキャンプ。すると、親不知は無理で、小滝方面への下山になる。脚がダメなら栂池高原からか。
9/12(火)
朝焼けはあったが、雲はあまりない。この険しい道を引き返すよりは進んだ方が楽。いつもの朝食の後、6:00頃出発。しばらくすると、傾斜が緩やかになり、池塘が現れる。花はお仕舞だが、雰囲気は良い。清水岳も遠くに見えてくる。
9:40 清水岳到着。頂上は平で植生がない。池塘もあるので、いざとなればテント泊が可能である。ただ、欅平と清水岳の標高差は2,000m、初日に重いバックパックでここまで来るのは難しい。10:00 池塘の傍でランチとした。
清水岳からは意外に快調に歩いていた。11:00、千恵子からinReachメールを受け取った。それによると、白馬の村営キャンプ料金は2000+1000(テント1張り)、予約してないと+2000円と、恐怖の価格になっていた。三年前は予約なしで1000円で利用できたと思う。水とトイレだけに5000円も払えない。そこで、白馬岳を通り越して、雪倉岳避難小屋をめざすことにした。
2:10 白馬岳山頂。三年前は半月板損傷から三ヵ月ほどで、痛みがでて、村営頂上小屋は夕方の5時か6時だった。頂上近くで三人ばかり人とあった。女性の一人はキャンプ装備で、村営頂上小屋に予約を入れてあるという。値段が高いことをいうと、それでも山小屋泊まりするよりも、毎日、一万円、安くつくという。またまたびっくりした。いつの間にか、お金のかかる山になっていた。彼女は電話で、唐松山荘にテント泊の予約を入れようとしたが、天候次第では歩けないので、結局、予約はしなかった。当日、朝の10時までに予約を入れればよいそうだ。
なぜ、テント泊に予約が必要なのか、彼女も私も理解できなかった。バックパックが重くなるので、どこまで歩けるかは、その日にならないと分からない。彼女もテント泊の人間のことを分かっていないと、憤っていた。山小屋も地面をお客が来るたびに整地しなおすわけでもなく、水とトイレを使わせるだけだろう。今は白馬大雪渓は通行止めで、歩く人はほとんどいない。キャンプサイトはがら空きである。お金目当ての山小屋関係者ばかりの山になってしまった。
のんびりして遅くなった。三国境までは、それなりの急こう配。ガスが出て、地形が見にくい。歩く人は誰もいない。朝日小屋が営業終了しているためである。植生のないガレ場が続き、池塘があった。午後3時過ぎで、この辺りでテントを張り、ビバークすべきだったが、避難小屋まで行きたくて、判断ミスを行った。想定より歩く速度が遅い。5時で鉢ケ岳の裾野にいた。今年の雪解けは早く、避難小屋に水がない可能性があるので、川の上流に降りて、6L担ぎ上げた。歩きはじめると激しい夕立になった。結局、午後6時、疲れ果てて雪倉岳避難小屋に着いた。もちろん、他に人はいない。避難小屋には非常用に水のボトルがたくさん備蓄されていた。小屋の横の谷を降りても水がありそうである。日本の山は夕立が激しいので、やはり3時程度には寝場所を探しておくべきだった。
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