2017年1月20日金曜日

癌の食事療法 Cancer Diet

Cancer Diet, 翻訳すると癌の食事療法かな。ドイツ語の文献もあったが、読みにくいし、オープンアクセスではなかった。これはやはりドイツの研究者による英文のオープンアクセスのシステマテック・レビューである。たぶん、同じ内容だろう。人気のある13の癌の食事療法のレビュー。これは補完代替医療(Complementary and alternative medicine)でもある。

部分的に抜粋して翻訳(意訳)する。全部、きちんと翻訳すると著作権に触れるため。

出典はここ:
Counseling Patients on Cancer Diets: A of the Literature and Recommendations for Clinical Practice


国際的なデータでは補完代替医療を受ける人は50%くらい。婦人科癌の患者の75%は特別な食事療法(ダイエット)をしているか、サプリメントを使うか、その両方らしい。

MedlineやGoogleて゛検索し、専門家10人が重要と抽出した研究 Table1 






ゲルソン療法 リンク先に説明有り。生の肝臓エキスなどを摂り、新陳代謝を高めるダイエットという。 ただ、癌が治るという科学的データはない。Hildernbrandtらは黒色腫患者の生存率を後ろ向き法で統制群と比較したが、黒色腫のステージに無頓着な統制群だったので何も結論は得られない。その後もゲルソン療法の効果を証明する研究はない。

ゴンザレス療法 リンク先に説明あり。ゲルソン療法に類似、1999年に提案された。膵臓酵素を使う方法。2010年にゴンザレス療法によるか抗がん剤のゲムシタビンによるかを患者に選択させた研究によると、生存期間の中央値は、ゴンザレス療法で4.3ヶ月、抗がん剤では14ヶ月だった。

ローカーボとケトン食 炭水化物は総エネルギー摂取量の10%程度。2011年にSchmidtらが論文発表した。炭水化物摂取は最大で70g/日。8週間で患者二人が死亡、3人は食事療法を拒否、3人は癌が進行。著者は末期癌患者だったという。副作用は疲労と便秘。いくつか研究があるが、食事療法前の臨床データが曖昧である。この食事療法には注意が必要である。試験管内や生体内実験では、癌細胞がその状況に適応し、突然変異して、幹細胞のようになる。マウスでは食事療法を行った実験群で最初に癌の成長が遅くなるが、その後、成長速度が増し、統制群よりも増長する。他の実験によると、癌の成長が小さくなるのは、体重が減るからで、食事療法とは関係なかった。

マクロビ これは日本発の方法。膵臓癌患者23名の後ろ向き研究がある。生存期間は13ヶ月程度だった。しかし一般的な生存期間は3ヶ月なので、データにバイアスがある。これは早期に死亡した患者がデータから削除されたと考えられている。その後、専門家はこの食事療法の利点を見いだせない。

ベーガン(菜食) 2005年にOrnishらの行ったランダム化した前立腺癌患者93人の研究がある。ただ、食事以外にエアロビクスやストレスマネジメントなども取り入れていて、菜食の効果を分離できないので、何の結論も得られない。

癌の食事療法では体重の減少や微少元素の不足になりがちである。---体重が減少すると、癌の成長も遅れるので、食事療法が効くと勘違いするのだろう。

患者が癌の食事療法にのみ頼ると、それによって癌の治療が遅れることが問題である。

患者と医師のコミュニケーションが悪いと、患者は補完代替療法に向かいがちのようだ。食事療法と補完代替医療とは同じ状況にある。

患者は癌を直接叩き、副作用のない方法を希望している。そこで、免疫システムを増強して癌を叩くという説明が、患者には分かりやすい。...そこで、このような患者に対してエビデンスではなく、心理的な事柄を考慮にいれて接する必要がある。

---ということですよ。

ビタミンCの大量投与



ビタミンCの大量投与とかケトン食で癌を殺すとか、最近、聞くので、ちょっと調べて見た。検索すると、アメリカの国立癌センターの患者向けのレビューがあった。日本語で要約しつつ引用しておく。効果が不明で、アメリカでは承認されていない。

出所は、High-Dose Vitamin C (PDQ®)–Patient Version


1.ビタミンCの大量投与は静脈からの点滴と経口投与による。経口投与だと癌に少ししか到達しない。

2. 研究は70年代からスタート、ポーリング博士が有名。当時は癌がビタミンC欠乏による結合組織の病気と信じられていた。

3. 実験室での研究では、ビタミンCの大量投与で前立腺癌、膵臓癌、肝臓癌、腸癌などの癌細胞の広がりを防いだり、遅くする。

4.動物実験での研究では、ビタミンCの大量を放射線療法や化学療法に併用すると効果があがる場合と、化学療法の効果を損ねる場合がある。

5.人間での研究
 1)乳癌の患者に静脈からビタミンCを大量投与した場合、統制群の患者と比較して生活の質が上昇した。
 2)回復不能の癌患者にビタミンCを大量に経口投与したところ、生活の質が向上した。
 3)ボランティアと癌患者にビタミンCを大量投与して1.5g / kgまでは安全だと分かった。---私なら一日120gにもなる。
 4)14名の膵臓癌患者にビタミンCを点滴で大量投与した場合、ほとんど副作用がなく、癌患者9名の状態は安定していた。
 5) 9名の膵臓癌患者に化学療法にビタミンCを点滴で大量投与した場合、1カ月の間症状が進行しなかった。
 6 )27名の卵巣癌患者で化学療法単独と化学療法とビタミンCの点滴による大量投与を組み合わせた場合、ビタミンCを投与されたグループの化学療法の副作用が少なかった。
 7)急性の骨髄性白血病、腸癌、転移性黒色腫の場合、ビタミンCと化学療法の併用は重大な副作用を起こし、病状が悪化した。

6.ビタミンCのリスクファクターは腎機能障害。腎臓病の既往症のある患者には適用できない。また遺伝病のG-6-PD患者も溶血の危険がある。

7. ビタミンCの大量投与と化学療法の交互作用はあまり研究されていない。Bortezombiという抗癌剤が効かなくなることが分かっている。

8.US Food と FDAはビタミンCの大量投与を癌治療や他のいかなる治療方法としても承認しない。

2017年1月17日火曜日

MMPI-1/MINI/MINI-124ハンドブックの修正終了

MMPI-1/MINI/MINI-124ハンドブックの修正終了。筑摩書房から刊行予定。

ソフトウェアの改訂はこれからです。

The revision of MMPI-1/MINI/MINI-124 handbook was done This will be published soon by Chikuma Publishing Co. The software will be revised soon.