2010年7月10日土曜日

Kumano Ancient Road,Nakaheji route 2010.5



アプローチ

連休はあったが、授業があって長く休めない。奥様も忙しい。そこで、今まで行ったことがない那智から熊野大社へ続く中辺路ルートとした。JRで8時間。前泊は紀伊勝浦のビジネスホテル。朝食付きで五千円を切る価格。部屋はアメリカ並みに広かった。ちょっと古いからか客は少ないので静か。お風呂ではくりからもんもんの巨大なおじさんが建築の議論をしていた。実は小さい頃、大阪の釜が崎近くで一年ばかり過ごした。それで、故郷に戻った感じで、なごんでしまった(ちょと感受性が普通と違うのだ)。晩飯は町に出て、マグロのカツ丼。名物に旨い物なし通りで、熱の通しすぎで味がなかった。これは失敗。刺身を食べて、スーパーのマグロと代わらんと、吐き捨てるように言って出て行った中年グループもいた。マグロなんか、冷凍だからどこでも同じ。

1日目

朝、しっかり寝て、朝食を食べ、紀伊勝浦の駅へ。8時半のバス。観光バスではないが、それなりに客は多い。那智の滝前で下りる。立派な滝だが、土産物屋が乱立。観光客も多い。記念撮影を済ませて、熊野那智大社へ向かう。石畳の急な登り。本堂の中には自由に入れるが、カモが来たと寺の人が大勢で、祭壇の前で待ち構えていた。足がすくんだのですぐに逃げて、寺の裏から熊野古道に入った。良い雰囲気の道が続いていた。10時20分、那智山公園という広場に出た。小休止して、コーヒー・タイム。ちらほらと熊野古道を歩く人もいた。
平らな丘の上が頂上。トイレはあったが、水はない。標識によると少し行くと水がある。先に進んだが水がない。標識もない。11時20分、昼食とする。11時50分、出発。水の残量は二人合わせて0.5リッター。水無しで3時間くらいは問題ないので、たぶん大丈夫と先に進んだ。12時半舟見茶屋蹟、その後で林道に合流した。側溝に水を発見。浄水器で汲み上げて一人一リッターの水を確保した。下り坂。川の傍の古道は通行禁止。舗装道路を歩く。14時、地蔵茶屋に着く。立派な休憩所とトイレがあったので小休止。
山の南斜面の古道は苔むしている。わき水も多い。北斜面は乾いている。古い火山岩が露出していた。15時、越前峠の登り口に素晴らしいキャンプサイトがあったが、通過。15時20分、越前峠、標高800メーター。北斜面を下るが、水はない。だんだんと疲れてきた。実は、今回、SOLO Asolo Sasslong Gore-Tex Backpacking Boots を使ったが、足首の固定が柔いし、ソルボメディではクッションが足りない。下りが不安定で疲れてしまった。地図にあった休憩所を目指すが遠い。16時30分、茶屋蹟近くで水が流れていた。16時30分、杉林の中にテント設営。水は7リッター確保。夕食はビーフジャーキーご飯を炊いて、乾燥野菜と炒めた。それにおマメさん、スープ。良い場所で、しっかりと睡眠できた。大雲取り越えは予想よりきつい。アップダウンが多く、距離がある。

2日目

5時すぎに起きる。パン、マンゴー、コーヒー、チーズの朝食。7時出発。15分で休憩所に着いた。蛇口があり、捻ると水が出た。ここまで来れば良かったが、知らないので、昨日の場所で正解。時々、山ツツジのきれいな花がある。8時過ぎに小口の町に出た。小口自然の家は、オートキャンプ(これは和製英語で、アメリカ人には通じない。正しくは Car Camping だぞ)の車が一杯。歩きの人間には厳しい値段のキャンプ場なので、最初から泊まるつもりは無かった。
小和瀬から小雲取り越えに入る。良い道が続く。棒で獲物を担いでいるような男二人がいた。最初は漁師かと思ったが、少し様子が違う。追いついて見ると、二人で担いでいたのは案内の標識。すぎの丸太で50キロあるという。標識を立てた後、番号が逆順と役所が気づいて、設置のし直し中という。日当は二日分しかない、それでなんとかやれと言われたらしい。千年前からこんなことをやっていたかもしれない。10時、N0.37で休憩。380メーター地点。10時10分、桜茶屋蹟で休憩。ここが唯一遠景の見える場所。大昔、この茶屋では白装束の一団が見えてから餅つきを始めたそうだ。納得。10時半出発、11時10分、林の中で昼食。トレランの三人組が通る。ウルトラライトだけど、サポートが必要だからね。本当は軽くはない。重い財布も必要。
12時、小雲取山、ちょっとした丘で景色は見えない。下って谷筋に出ると見えるようになる。13時、松畑茶屋蹟で小休止。だだっ広い、平な場所。昔は茶屋が賑わっていたかもしれない。14時30分、請川に出る。本宮行きのバスは一時間後。デイリーヤマザキができていたので、見ると品揃えが良い。わざわざ本宮まで行く必要もない。本宮大社は見学する価値もないし、食料品店も小さい。それで買い物をして、この辺りで寝ることにした。
少し引き返して公衆トイレで水を7リッター確保。身障者用トイレにはなぜか温水シャワーもあったのでヒゲを剃り、身体を拭いた。ところが公衆トイレの場所からは川に下りられない。請川バス停に戻り、川に出る。砂州は低いので下りず、堤防の上にテント設営。誰も来ない場所。ヤマザキのケーキでコーヒータイムとした。後は休憩してからは中華丼を作る。上等の牛肉で、なかなか旨かった。熊野川を見ると、鴨が二羽。絶えず一緒に行動している。常に一歩下がっているのがオス。ずうっと何時間も一緒。人間のオスも大変だが、鴨のオスも大変だなと実感。身につまされることがありましたな。

エピローグ

帰りは7時のバスで新宮へ。8時頃到着。9時過ぎのJRは高山線に接続、待ち時間も少ない。新宮駅の前でテントを広げて乾かす。酸っぱいサンマ寿司は買わず、名古屋での乗り換え時間に弁当を買う。名古屋の弁当の水準は高く、これも旨かった。以前、松坂で松坂牛の弁当を買い、不味くて大失敗だったこともある。同じ失敗は繰り返さない。名古屋弁当が正解。高山線もがら空きで、四席を独占して富山まで帰れた。